CiANシリーズを担当している企画開発部のヤマシタと申します。
軽く自己紹介をさせて頂きますと、
普段は地磯(北部九州・紀伊半島・能登半島)でのヒラスズキ・ヒラマサをメインターゲットとし、沖磯に渡った時は石鯛・クエ等の底物も狙っています。また年に5回程度は薩南諸島にも遠征し、ヒラアジ系やイソマグロなどを追いかけています。
このコラムを読んでくださっている方の中にも似たような方が居ることでしょう。
『磯に人生を捧げてしまった者』です。
さて、2023年秋にシアンシリーズから3つの新製品が発売されます。
①シアン ホロフィルエア RSベスト
②シアン HDバックパック
③シアン メッシュタックルケース
解説は製品ページとYou Tube動画でご紹介しておりますので、
このコラムではこの3つの製品の開発秘話や、裏話的な部分を2回に分けてご紹介していこうと思います。
CiAN Hollofil AIR™ RS VEST
このベストのコンセプトは「高機動&高耐久&高機能」。
とにかく軽くて快適で動きやすくて、ありがたい機能が各所に設けてあります。
開発当初から、生地に「コーデュラ ホロフィルエア」を採用することは決まっていたので、軽さと強度の両立という点は難なくクリアしていました。
ですので、一番時間がかかったのは形状の所です。
最初に決めたのは肩回りのディテール。
ロックショアの釣りで想定される動作において、身体とベストが干渉する部分では一番激しく動く部分のため、“機動性の高さを求める”という点では非常に重要です。
数種類のサンプルを作製・テストし、背面の特に肩甲骨周辺を大きく削ったデザインを採用としました。
初期のサンプル
製品版
動きに干渉しないギリギリのラインを攻め、
ライフベストのプロテクターとしての役割もしっかり残してあります。
そして前面の肩周りに関しては浮力体の形状に加え、ベルト部がちょうど肩のとこに来ることにより十分な可動域が確保されています。
実は当初、界隈ではポピュラーなワンピースタイプ
(言い方が合っているか分かりませんが、背面と前面が繋がってるタイプ)でのサンプル製作もしていました。
ワンピースタイプのサンプル
最終的にセパレートタイプを選択した理由は2つ
1つは上述の通り、肩周りをスッキリさせて可動域を確保するため。
もう1つは丈の調整を出来るようにするためです。
私自身、身長が181㎝あるため、ワンピースタイプのライフジャケットだと着丈が足りず、
お腹が丸見えみたいなことになってしまうのが不満でした。
また、シアンテスター眞方氏のように体格が良すぎる方だと、モノによってはビキニを着ているかのようになってしまうことも…。
そのため、セパレートタイプで着丈を調節できるようにし、体型や身長を幅広く網羅できるようにしました。
また、肩周りだけでなく首周りも広く削りました。
首の圧迫感を抑えるとともに、夏場においては上がった体温を効率的に放熱することが出来ます。
また、最近は磯でも多く見かけるようになったGoPro(そのほかアクションカメラ)も、
ネックマウントを使用する場合であれば、首元・胸元が広いこのベストなら装着しやすいかと思います。
左:プロト 右:製品版
この時点でおおよそベストのシルエットは確定。
ここからはその他のパーツや機能の所を詰めていく段階です。
まず枕の部分。
後頭部に当たって圧迫されることは絶対に避けたかったので、首を護りつつも邪魔にならない絶妙な角度に設定しました。
着脱式ではありますが、安全の為装着しておくことをお勧めします。
また、首の皮膚に当たる箇所はネオプレン素材を使っているので、スレてヒリヒリすることも無いかと思います。
次にフィッシュグリップホルダー。
この部分もかなり試作を重ねました。
グリップで挟むDカンは、装着後にグリップの後端が浮力体の下端からはみ出さない位置に設定。
はみ出してしまうと、かがんだ時や岩を上る時に太ももに当たってしまいますが、だからと言ってあまり上にし過ぎると、ロッド操作の時に腕に当たってしまいます。
なので、その動作にも干渉しない絶妙な位置を追究しました。
グリップを固定する方法にはベルクロを用いたベルトを採用。
ベルクロの雌雄ともにベルト上に縫い付けることで、グリップの揺れによって勝手に剥がれてしまうのを防ぎ、ベルクロの消耗を抑えます。
また、ベルトを斜めに張ることで、一度剥がした雄側ベルトが下に垂れるようにしてあります。
これは剥がしたベルトが、意図せず再度くっ付いてしまうのを防ぎ、スムーズなグリップの取り外しが出来るようにするためです。
そして前面のポケット。
左右両方に付けてあるので、利き手がどちらでも扱いやすいです。私(右利き)の場合、ペンチを左ポケットに、糸の切れ端等のゴミを右ポケットに入れるようにしています。
容量も比較的大きく、リング・スリーブ・フックなどの小物類も余裕をもって入れておくことが出来ます。
最後に、14カ所に配置したDカン。
ライフジャケットに付ける装備はアングラーによって異なります。
私はフィッシュグリップ・ヤスリ・グローブホルダー・胸のポーチぐらいですが、そのほかプライヤーホルダー・ナイフ・ペットボトルホルダー・ストリンガーなどを付ける方もいます。
アングラーごとのこだわりに合わせてカスタムして頂けるように各所にDカンを配置してあります。
安全の為に必ず股紐を装着し、チャックやバックルをしっかりと留めた状態でご使用いただきますようお願い致します。
次のジャーナルでは、シアンHDバックパックのお話をさせて頂きます。
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